風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

白糸の滝の不思議な平坦面

峰の茶屋から、白糸の滝を経て、旧軽井沢に下る有料道路は以前は未舗装区間が多かったが、いまは走りやすくなった。片道300円だ。



白糸の滝。小浅間溶岩ドームが出現する直前にその火道から噴出した白糸軽石が5メートルほどの厚さで降り積もっている。その基底から水が白糸を垂らしたように流れ落ちている。この地域には、2万4300年前に塚原土石なだれが堆積したあと、広い平坦面が形成されて、そこかしこに水面が生じた。本州の脊梁にあたる場所の地形としては異例である。

浅間山から降り積もった軽石や火山灰は浅い水中で再堆積して、池の底にシルトや粘土層として堆積した。これが白糸の滝をつくる不透水層をつくっている。このシルト粘土層の間には板鼻褐色BP3軽石が挟まれている。2万0800年前に噴火した白糸軽石の上には、そのあと浅間山から何度も噴出した軽石や火山灰と、それの再堆積層(ロームとクロボク)が、20メートルほど積み重なっている。

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滝と駐車場を結ぶ遊歩道の脇を小川が流れる。水流に洗われて、塚原土石なだれが運んだ火山角礫岩が川底に露出している。

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駐車場の道路脇で、塚原土石なだれの堆積物の断面を観察することができる。赤く酸化した部分と還元状態の青い部分が、土石なだれの流下過程で複雑に入り混じった。

この地域の不思議な平坦面については、すでに、二度上峠からみた浅間山(2006年3月25日)で、写真つきで言及しました。

小浅間山溶岩ドーム



小浅間山は、浅間山頂火口の東4キロ地点に2万1000年前に上昇してきた溶岩ドームです。溶岩ドーム形成の直前には白糸軽石が噴出しました。東側(左側)は峰の茶屋です。森の中に東大の浅間火山観測所があります。西側には森がなく、裸地になっています。1)風上側にあたる、2)山頂火口から放出される火山ガスの悪影響が考えられます。
 小浅間山の山頂は、窪地を挟んで二つに分かれています。溶岩ドームは巨大なパン皮火山弾のようなものですから、冷却に伴ってひび割れします。久野久はこれを断層だと考えましたが、その表現は不適当です。溶岩ドーム頂部のひび割れは小浅間山だけに限らず、他でも見られます。箱根の双子山、伊豆半島の矢筈山、別府の由布岳など。

軽井沢を焼き払った雲場熱雲

黒斑山が崩れた1700年後、いまから2万2600年前、軽井沢と中軽井沢の間で突然噴火が始まりました。熱雲が発生して軽井沢一帯を焼き払いました。高温の熱風から上昇したきのこ雲は南西からの風に流されて、榛名山の上空に達し、そこに黒雲母を含む火山灰を降らしました。最後に、火口を溶岩ドームが埋めて噴火が終わりました。離山です。図では、オレンジ色が熱雲が焼き払った範囲、緑色が火山灰が降った範囲です。



その1600年後、2万1000年前に峰の茶屋から噴火が始まりました。今度は軽石をバラバラと、やはり榛名山の上に降らしました。白糸の滝に露出する軽石がそれです。小浅間山溶岩ドームが火口に栓をして噴火は終わりました。図では、軽石が40センチ降り積もった範囲を黄色で示しています。

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