風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

浅間山麓の小中学校配置

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1783年噴火、1108年噴火、同心円(4, 8, 12 km)、小中学校。
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夏休みの自由研究は浅間牧場で

浅間牧場で、夏休みの自由研究のお手伝いを大学生がします。小学生のお子さまといっしょにおでかけください。8月9日から13日まで。

・コーラ噴火の研究。
・弁当パックで浅間山の立体模型をつくる。200円。
・浅間山の噴火しらべ。地質図500円。


印刷用ファイル(2.3MB)

湯の平の池

黒斑山と前掛山に挟まれた三日月型の平地を、湯の平と言う。2万4300年前に黒斑山が東に崩壊して生じた。標高は2000メートルで、浅間山の山頂火口から2キロしか離れていない。

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湯の平は、平安時代の1108年8月、追分火砕流にすっかり埋め立てられた経験をもつ。火砕流が残した堆積物の厚さは5メートルほどだ(写真左、右手が前掛山)。その表面に広がる笹原には、20世紀に繰り返し起こったブルカノ式爆発で山頂火口から飛来した火山弾がつくったクレーターがたくさんみつかる(写真右)。

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窪地の核心部には小さな湿原がある。クレーターに水が溜まり、小さな池がいくつも生じている。写真左の遠景は、剣が峰と円山溶岩。円山溶岩は3世紀末だと言われることがあるが、確かではない。写真右は前掛山。優美な円錐形をなすが、左側(北側)に余分な出っ張りがある。1783年噴火で火口内北寄りに生じた釜山スコリア丘が、鬼押出し溶岩の流出によって掃き寄せられた部分である。

地名の読みとローマ字

鎌原 かんばら Kanbara
吾妻 あがつま Agatsuma
嬬恋 つまごい Tsumagoi
平原 ひらはら Hirahara
仏岩 ほとけいわ Hotokeiwa
塚原 つから Tsukabara
黒斑 くろふ Kurofu
千ヶ滝 せんがたき Sengataki

ヘルメットをかぶって通学する児童



嬬恋西小学校の児童は、白いヘルメットをかぶって通学しています。

噴火の年月日

史料と堆積物の研究からわかった浅間山噴火の年月日をまとめます。

○2004年
 9月23日   百トン岩

○1950年
 9月23日   千トン岩

○1783年
 8月5日10時 鎌原熱雲+土石なだれ
 8月4日夜  峰の茶屋の軽石(A, M4.5)
 8月4日午後 吾妻火砕流
 8月3日   鬼押出し溶岩
 7月28日   六里ヶ原の軽石(M2.8)
 7月17日   溶岩樹型の軽石(M2.7)

○1596年
 夏     六里ヶ原の軽石(A', M2.7)

1108年
 9月26日から 北軽井沢のスコリア(B上部, M4.5)
 8月30日   追分火砕流
 8月29日   軽井沢のスコリア(B下部, M4.6)

○1万5800年前
 夏     嬬恋軽石(M5.4)

○2万4300年前
 不明    塚原土石なだれ

浅間山のキャンプ場

浅間山の北麓には、気持ちのよいキャンプ場があります。



ここはスウィートグラスです。浅間山を望むすばらしい景観と、スタッフのホスピタリティーが評判です。好天に恵まれた今年の5月の連休は満員だったようです。緑の芝生で大勢の子どもたちが遊んでいました。

川原湯温泉の笹湯

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火山の調査には、温泉がおまけでついてきます。私は、川原湯温泉の笹湯がお気に入りです。浴槽を取り巻く板張りが新しくなって、木の香りが気持ちいい。300円です。

アズマイチゲ

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イチゲやカタクリは、雪がとけたあと、木々がまだ葉をつけていないほんの短い間だけ林の中に差し込む日光を利用して子孫を残します。木々の芽吹きはもう始まっています。地形と露頭の観察がしにくくなってきました。

小中学校の立地

浅間山麓の小中学校が、浅間山のどの火砕流やどの土石なだれの上に立地しているかを調べました。

鎌原土石なだれ(200年前)
・嬬恋村立鎌原小学校
・嬬恋村立東中学校
・長野原町立中央小学校
・長野原町立東中学校
・前橋市立荒牧小学校
 など多数

吾妻火砕流(200年前)
・なし

追分火砕流(900年前)
・長野原町立北軽井沢小学校
・嬬恋村立西小学校
・嬬恋村立西中学校
・軽井沢町立西部小学校
・御代田町立北小学校
・御代田町立南小学校

平原火砕流(1万6000年前)
・嬬恋村立東小学校
・軽井沢町立中部小学校
・御代田町立御代田中学校
・小諸市と佐久市のほとんどの小中学校

塚原土石なだれ(2万4000年前)
・長野原町立応桑小学校
・長野原町立西中学校
・長野原町立第一小学校
・前橋市立桃井小学校
 など多数

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畑の土で地質を見分ける

畑の土をみると、その土地がいつのどんな噴火できたかを見分けることができます。特定の火砕流や土石なだれの分布限界を知る方法として有効でもあります。



鎌原土石なだれ。礫がたくさん混じっている。よく探すと、ガラス質の黒岩がみつかる。土はシルト分より砂分が多い。色は茶色。@万座鹿沢口駅裏の台地。

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追分火砕流。スコリアと礫がまじっている。色は青あるいは茶色。@北軽井沢。

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手前の青黒色が追分火砕流。向こうの褐色が平原火砕流。一枚の畑の中に地質境界があるのはめずらしい。大前駅裏の台地。

平原火砕流は、3月26日を見てください。しっとりした黒で、礫をほとんど含まず、砂分よりシルト分のほうが多い。この特徴は、平原火砕流の堆積物の特徴ではなく、その上を覆っている厚さ1メートルのクロボクの特徴です。畑の土がクロボクからできているのは、過去1万年間に浅間山からそこまで火砕流などの土砂が流れてこなかったことを意味します。

塚原土石なだれの表面も同じクロボクですが、流れ山の有無で平原火砕流と区別することができます。

浅間山の裾野は火砕流と土石なだれでできている

浅間山は火山です。山頂火口から測って半径4キロの円内は、だいたい溶岩でできています。これが一般に山として認識される浅間山です。

西と東には山並みが連なっていますが、北と南にはなだらかな裾野が20キロくらいまで続いています。ここが人間活動の場になっています。集落や街もあります。北西角の姥ヶ原を除いて、ここは浅間山から流れてきた火砕流または土石なだれがつくった土地です。

火砕流はマグマが泡だって高速で流れて来る現象です。マグマだから高温です。火口を出るときは1000度、流れ終わったときでも300度以上あります。水と同じように流れ下りますから、平坦な土地をつくります。

土石なだれは、山体がくずれて流れてきたものです。常温ですが、これも高速です。時速100キロ程度です。土石のなかにはとても大きな岩が含まれていますから、それが核となって地表に流れ山がたくさんできます。ちょっと奇妙に思えるかもしれませんが、浅間山の場合は、土石なだれのほうが火砕流より遠くまで達しています。

火砕流か土石なだれか、そして何年前の噴火によるものかで、土地の使われ方が異なります。新しい時代に火砕流におおわれた土地は、表土が不足していますから農地として耕すには適していません。そういった土地は最後まで開墾されずに残り、いまは別荘地として利用されています。

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