風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

ワシントンDCの地下鉄はコンピュータ運転

数時間前にワシントン地下鉄レッドラインの地上部分で追突事故が発生して、多くの死傷者が出たそうです。私は半年間オレンジラインをよく利用しました。そのとき、この地下鉄の運転手が実は運転していないことに気づきました。以下、2009年2月24日の日記から。

スミソニアンの同僚が「メトロの運転手は運転していない。運転は司令室のコンピュータがしている」と言っていたのを思い出して、きょうの帰りに運転席の後ろに陣取って観察しました。彼が言ったことは本当でした。運転手は運転していませんでした。

彼女がしていたのは、ドアの開閉だけ。列車が止まると窓から顔を出して後ろを見てドアを開ける。ドアを閉めると列車が動き出す。列車の動きと彼女の動作に因果関係はまったく認められませんでした。彼女はドア閉めボタンを押しただけなのに、彼女はまだ運転席に着席していないのに、電車が動き出しました。

運転席は、進行方向右側にあります。右側通行ですから、線路の両脇にホームがある駅はよいのですが、島ホームの駅はたいへんです。止まると、急いで左側に行って窓から顔を出してドアの開け閉めをします。そして急いで運転席に戻ります。ちょっと滑稽です。こうして彼女が運転席に戻る前に、列車が動き出したのです。動かぬ証拠です。

コンピュータ制御だから走行がスムーズでなくて、ぎくしゃくするのでしょう。こう考えると、人間の能力はなかなか捨てたもんじゃないな。人間に運転させないのはどんな理由からなのだろうか。人間に運転させて、万一のときにコンピュータで停めるATSのほうが優れたシステムだと思う。

列車の最後尾に車掌はいません。ワンマン走行です。

ワシントンに春が来た

 IMG_3193.jpg
ワシントンは、この週末、最高気温が22度まで上がりました。土曜日と日曜日、二日続けてサイクリングに出かけました。春の花が咲き始めました。(左)オオイヌノフグリ、(右)クロッカス。

ペンシルバニア州ランカスターの土壌とアミシュ

IMG_3141.jpg IMG_3143.jpg

週末を利用してペンシルバニア州ランカスターに小旅行に行ってきました。ランカスターはアミシュの人たちが住んでいることで有名です。彼らは、現代文明の利器を選択利用しているひとたちです。先祖はオランダからの移民だそうです。アミシュのひとたちは、自動車・テレビ・コンピュータを使いません。自動車の代わりに馬車を使います。右の写真は、子どもたちが自転車のかわりに使うスクータです。地面を足でけって進みます。

それは、よほど不便な生活だろうと想像して行ったのですが、彼らの生活ぶりはとても豊かでした。心も豊かだったし、物質的にも豊かでした。土曜日のディナーをアミシュの家庭におじゃましていただきました。それはアメリカ式でしたが、料理はどれもたいへんおいしかった。素材がよいからでしょう。コンロはプロパンガス、冷蔵庫もガスでした。

IMGP3018.jpg IMGP3013.jpg

アミシュのひとたちは生活基盤に広い農場を必要とします。ですから、ランカスターのような肥沃な土壌に恵まれた土地を選んで住んでいます。北海道の富良野に似た景観でした。

ポトマック河畔の桜並木

 IMG_3109.jpg
きょうは暖かかったので、午後早めに切り上げてポトマック河畔をサイクリングしました。有名な桜並木はつぼみがふくみ始めました。しかし残念ながら、開花を見ることなく日本に戻ります。同じ姿形の家が川岸に並んでいました。海軍のひとたちの住居なのだろうか。

ワシントン・モールに春の気配


国会議事堂前の芝生で、若者たちがフリスビーに興じていました。気温はまだ寒いのですが、強い日差しから、春がそこまで来ているのが感じられます。

デュポンサークルのファーマーズマーケット

 IMG_3075s.jpg 
ワシントンはずいぶん暖かくなってきました。きょうは、デュポンサークルで毎日曜の午前中に開催されているファーマーズマーケットに、自転車に乗って出かけました。最高気温6度で空気は冷たかったですが、日向は強い日差しがあって暖かかった。ここでは、パンを5ドルで買いました。夕食時に食べたら、いつもスーパーで買ってるのとはまったく違っておいしかった。アメリカにもおいしいものはあるんだ。

ランチは、アダムズモーガンでfalafelを試しました。暖めたピーターブレッドにヒヨコ豆でつくった団子を揚げていれ、さらに野菜をトッピングしてソースをのせて食べる中東料理でした。ヘルシーでおいしかった。今回のワシントン滞在は残すところあと1ヶ月です。

カーネギー地球物理学研究所

 IMG_3060s.jpg
Carnegie Geophysical Laboratory(カーネギー地球物理研究所)は、ワシントンDCの北部にあります。久城育夫先生が研究した場所です。有珠の岡田弘さんもここで2年間研究したことを、最近になって知りました。毎日自転車で通ったそうです。それに習って、私もきょう、アーリントンのアパートから自転車で行ってみました。

とても環境のよいところでした。Rock Creek Parkに隣接する住宅街の一角にありました。Department of Terrestrial Magmatismと敷地を共有しています。庭にいたひとに聞いたら、写真右がGeophysical Laboratyの建物だと教えてくれました。「日本から来た」と言ったら、「その自転車で日本から来たのか、すごいな」、と返されました。

往復42キロでした。最高気温21度と、2月にはまれな気候でした。天気予報によると、ワシントンは今週はまだしばらく暖かいですが、来週になると最高気温3度の冬に戻ります。

大統領就任式の準備進む

1月20日正午、アメリカ大統領がブッシュからオバマに交代します。その就任式のための準備がいまワシントンで着々と進められています。きょうは、その進捗状況を見てきました。

 IMG_3736s.jpg
国会議事堂の前庭に無数の椅子が並べられています。この正面壇上に、オバマ新大統領が正午きっかりに現れるのだそうです。この椅子に座るチケットがない人は、モールの芝生に立ってはるか遠くからオバマをみることになります。スミソニアン自然史博物館の前にたくさんの仮設トイレが並べられていました。当日まで使えないように、すべてのドアがビニールひもでロックされていました。

IMG_3752s.jpg IMG_3756s.jpg
国会議事堂で就任演説を終えたあと、オバマはこのロータリーからペンシルバニア通りをホワイトハウスまでパレードします。当日は、オバマをひと目見ようとする人たちでこの通りがあふれかえると予想されています。右の写真は、ペンシルバニア通りの途中から国会議事堂を振り返ったものです。

通りのところどころに仮設階段席が設けられていました。この席のチケットが金曜日の13時から1席25ドルで売り出されましたが、1分で売り切れたそうです。チケットがないひとは立ち見になります。パレード当日にペンシルバニア通りに近づくには、13ヶ所に設けられるセキュリティゲートのどれかを通過しなければなりません。どの入口にも長蛇の列ができるだろうと予想されています。

IMG_3770s.jpg
ホワイトハウスに到着したあとオバマは、敷地の北側にあるこのガラス張り*の中に現れてスピーチすることになっているようです。ここにも仮設階段席が多数設置してありました。

*このガラス張りは、オバマがスピーチをするためではなく、オバマが(逆に)パレードを見るための席でした。終わったあとにわかってもどうしようもないのですが、オバマがホワイトハウスに入ったのを家でテレビで見届けてから地下鉄に乗り、このガラス張りの前の仮説階段席に座ってパレードを見ながらオバマ夫妻を見学するのが一番賢い方法だった。氷点下の寒さに耐え切れず、チケットの権利を早々に放棄したひとが多かったらしい(1月22日追記)。ここでパレードを見たのはオバマだけだったという発言を耳にしました。予定より2時間遅れて始まったので、オバマが着席したときにはすでに暗かったという。仮設階段席の人影はまばらだったということなのでしょう。そういえば、パレードをみる群集の写真はひとつもみません。また、モールで就任式に参加したひとに聞いたのですが、集まった人の半分は黒人だったそうです。このような人種比率はこれまでの就任式ではなかったそうです。黒人たちの多くは家族で来ていたそうです。黒人たちにとって、2009年1月20日はたしかに歴史的な日だったようです(1月26日追記)。

【“大統領就任式の準備進む”の続きを読む】

私のワシントンDC行動範囲


大きな地図で見る
青い太線は自転車で走破したルートを示します。一日で走破した最長距離は、W&ODトレイルを往復した11月1日の125キロです。ランチや買い物によく寄る店も示しました。

ニューヨーク・セントラルパークの羊背岩と迷子石

2万年前のニューヨーク市は、2000メートルに達する厚い氷の下にありました。カナダ全土を覆った氷床が南に足を伸ばしてマンハッタンまで届いていたのです。寒冷のために氷床が大きく成長したこの時期を氷期といいます。

IMG_3685s.jpg
マンハッタンの中央にあるセントラルパークには、氷が磨いた片岩の岩肌が露出しています。岩肌には氷河の進行方向に沿った溝が刻まれています。全体のかたちが羊の背中のようにみえるので、氷で削られたこのような岩を羊背岩(ようはいがん)といいます。羊背岩はふつう高地あるいは山奥に行って初めて目にすることができるのですが、ここセントラルパークでは高層ビル群に囲まれています。このミスマッチを一枚の写真に収めてみました。


回転木馬のそばには迷子石があります。氷河が、直径1.5メートルのカコウ岩を遠くから運んできてここに置き去りにしました。

ニューヨークは、ワシントンDC周辺でみられるような茶褐色の厚い土壌を欠いています。2万年前に氷河ですっかり削り取られてしまったからです。氷河の下になった土地は、氷河の進行方向に沿って削られたU字型の細い谷筋が何本も平行に走るドラムリンという地形をなします。マンハッタンにもドラムリン地形は認められますが、その起伏は私が12年前に滞在した西海岸のシアトル市内の起伏と比べるとよりずっと小さなものでした。シアトルでの東西方向の移動は、急な坂に阻まれてたいへんでしたが、マンハッタンの東西方向に細かく刻まれたストリートの移動にはとくに困難を感じませんでした。タクシーのブレーキパッドがすぐに磨り減るようなことは、ないようにみえました。


大きな地図で見る
ニューヨークは初めてでした。ワシントンからバスで往復しました。3泊4日で見たポイントです。

パッシブマージンの単調な地形と土壌断面

ワシントンDCとその近郊を自転車でかなり回ったのですが、ここの地形と表層地質を、私はまだよく理解できていません。氷期にニューヨークを覆った氷河はワシントンまでは南下しなかったと聞いています。ポトマック川の河床、たとえばグレイトフォールズ、には先カンブリア時代の堅い岩石が露出しています。ここではそれをbedrockといいます。Bedrockの上に土壌があるのですが、その土壌はbedrockが長い時間をかけて化学的に風化することによってできたと考えられているようです。

私が住むバージニア州アーリントンは、標高10メートル足らずのワシントンDCモール付近より90メートルほど高い台地になっています。そこに谷が刻まれています。動物園があるRock Creek Parkはそういった谷のひとつです。

標高100メートルのこの平坦面はいつどうやってできたのだろうか。2億年前に大西洋が開き始める前からあったもともとの平坦面なのだろうが。そのもともとの平坦面をつくったメカニズムは何か。それがいま標高100メートルにあるはなぜか。パッシブマージンというのはどうも理解しにくい。


バージニア州マウントバーノンの土壌断面。厚さ1メートルほどの茶褐色シルト~粘土の下に、bedrockの風化物がみえる。クロボクはまったく認められない。

【“パッシブマージンの単調な地形と土壌断面”の続きを読む】

ワシントン・モニュメントからの二度目の眺め

ワシントン・モニュメントにまた登りました。

 IMGP2843s.jpg
(左)リンカーンメモリアル、ポトマック川、そしてアーリントンのビル群。このビル群の左端近くに住んでいます。(右)ペンタゴンは低層ビルだ。

ポトマック川のグレイトフォールズ

IMG_3329s.jpg 
ポトマック川にかかるGreat Fallsでハイキングをしました。

IMG_3338s.jpg
サギに似た大きな鳥が片足立ちで水面を堂々とみつめていました。

シェナンドア国立公園

アメリカの東海岸には文化がありますが、めざましい自然はありません。アクティブマージン(変動帯)ではなく、パッシブマージンだからです。単調な丘陵地形が延々と続きます。それでも古生代に隆起したアパラチア山脈があって、そこにShenandoah国立公園があります。いま紅葉がきれいです。

IMG_3302s.jpg
公園内のピクニックエリアでバーベキューする人々。

IMGP2834s.jpg IMGP2832s.jpg
標高1000メートルのところにあるBig Meadow。湿地ではなく乾いてしまっていて、deer trailsが縦横に走っている。

ワシントン・モニュメントから見たホワイトハウス

 IMG_3153s.jpg
ワシントン・モニュメントは、エレベータを利用して最上部にある展望台まで行くことができます。チケットを入手する必要がありますが、無料です。展望台の窓からは、ワシントンDCの東西南北をすっかり見ることができます。ホワイトハウスを上から見下ろすのは、なかなか愉快なものです。
次のページ

FC2Ad