風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

愛が日本沈没を救う

きのう日本武道館でおこなわれた『日本沈没』試写会に行ってきました。

主催者側によると、武道館に集まったのは一般選抜5500人+招待1500人で、合計7000人だったといいます。映画上映に先立って出演者と監督による舞台挨拶がありました。

日本沈没 上    小学館文庫 こ 11-1

舞台挨拶でも話題になりましたが、今回の映画化にあたっては隣人愛を大きなテーマに据えたようです。映画全体からそのメッセージが強く感じられました。深海潜水艇パイロットの小野寺俊夫(草剛)は、クライマックスでグスコーブドリになった。

科学者の冷徹な目から見ると、「愛でも、地球には勝てない」などと言ってしまいそうです。しかし樋口真嗣監督は、そのことをよく承知していたようです。沈没する前に全国民を海外に移住させようと努力する内閣総理大臣(石坂浩二)に「何もしないほうがよいという複数の意見がある」と語らせるし、会津で造り酒屋を営む小野寺の母(長山藍子)に「お父さんとの思い出があるここを私は離れない。そうすることが、命より大事な場合もあるのよ」と語らせます。

・熊本市街地を襲う火砕流の前面から多数の火山弾が飛び出していた
・噴火がどれもダイナマイト爆発だった
など、科学的におかしな点をいくつも指摘できますが、そうするのはこの映画に似合わない。

日本沈没という地学題材を扱いながら、隣人愛をテーマにしたこの映画が日本でヒットするかどうか、私は大きな関心をもってみつめます。

ジョクジャカルタから脱出を指示 アメリカ

在インドネシアのアメリカ大使館は、きのう(27日)早朝に強い地震に襲われたジョクジャカルタに滞在しているアメリカ人に対して、そこから脱出するよう指示を出した。

> Americans in the city of Yogyakarta should consider leaving. Although the city center was not heavily damaged, health facilities are overwhelmed with casualties from the earthquake. Water and electricity services have been interrupted.

レイヤーを一枚ずつ剥げる地図

新しい地質図は、紙に印刷するだけなく、ウェブでも公開します。ウェブだと閲覧者が自由に操作できる機能を盛り込むことできます。

レイヤーを一枚ずつ剥げる機能を装備しようと考えています。

鎌原土石なだれを剥いだら、どんな地図になるか。これは、1783年8月5日午前9時時点の地質図をつくることを意味します。たとえば追分火砕流がどのように分布していたのか、それはなぜ柳井沼に流入しなかったのかなど、たくさんの問題に答えを出さなければつくることができません。むずかしい作業ですが、脳みそが極度に刺激される作業でもあります。

いま2006年の北麓地質図では、鎌原土石なだれと追分火砕流がもっとも広い面積を占めています。平原火砕流や塚原土石なだれは狭い範囲しか占めていません。しかし鎌原土石なだれを剥いで、追分火砕流も剥げば、1万5900年前に平原火砕流がいかに広い範囲を覆ったかがわかります。専門家でなくても、その噴火の大きさを容易に実感することができます。

このように、レイヤーを一枚ずつ剥げる地質図をつくることは、専門家にとっても一般人にとっても、有益だと思われます。

地質境界だけでなく地形境界もかく

いま製図中の浅間山の地質図では、地質境界だけでなく地形境界もかいています。これに陰影を施して、平面地図をいかに立体的に見せるかを工夫しています。2万5000分の1の精度だから、地形をよく表現できるのです。

線引きと色塗りを実際に始めると、判断しなければならない個別問題が次々と出てきています。それをひとつずつ解決していく過程で、地質図と地形分類図を合体させた新しいタイプの火山地図がほんとうにつくれそうな気がしてきました。

地形面は低いほど新しい

地層は下ほど古い。これは、証明する必要がない自明のことだと思われます。証明しろと言われても、証明できません。地質学者はこれを、地層累重の法則と呼んで無条件に認めています。

一方、地形面は低いものほど新しい。高いものほど古い。地層とは逆です。とても高いところにある平坦面は、とても古い時代に形成されたのです。これは、ふつう、観察事実として了解されています。より高い地形面は、より古いテフラに覆われている事実に、関東ローム団研が1960年代に初めて気づきました。関東ローム研究における金字塔です。

観察事実だとして了解するに留まらないで、高い地形面ほど古いしくみをよく考えると、次の二つの基本事実に気づくことができます。

(1)土地は常にゆっくり隆起している。
(2)土地を一気にかさ上げする地学現象の規模と頻度は、逆相関している。

さらに氷期/間氷期の繰り返しまで考えに入れると、日本の山間部の地形はとてもよく解釈できます。

ふぐじょが製図作業過程でおもしろいダイアグラムをかいています。こういう誤解はけっこう浸透しているのかもしれません。(3)がまだ違います。追分火砕流は、地蔵川の川幅の中だけを流れました。両端の平原火砕流台地の上には乗り上げませんでした。

トラックバックとコメントの違い

ブログの特徴としてあげられるトラックバックが何だか、ずっとわかりませんでした。コメントを書くことと何が違うの?コメント欄に自分のページのURLを書けば、ブログ同士のつながりはできるではないか、同じではないか、トラックバックという別概念が本当に存在するの?と疑問に思っていました。

なるほど。トラックバックは自分のブログに書き込むのですね。コメントは相手のブログに書込むけど、トラックバックは自分のブログに書き込んで、書き込んだことを相手に伝えたいとき、自分のブログのトラックバック欄に相手のブログのトラックバックURLを記入する。そうすると、相手がトラックバックされたことに気づく。相手のブログに直接さわることは、ない。

歓迎されているのかいないのかわからないまま、相手の家に上がりこむのではなく、相手がトラックバックを受け付けている(歓迎している)意思があることを確認した上で、相手にメッセージを送る。これがトラックバックだ。たしかに、コメントとは違う。

コメントした文章の権利の一部は、資源を使わせてもらう相手にもあるだろうが、トラックバックは自分の側で行うことだから、文章の権利はぜんぶ自分にある。

試しに、私の別のブログからこのエントリにトラックバックしてみます。

ほら、こっちのブログは何もいじってないのに、題名の下がトラックバック(1)になった。

スーパーボルケーノ

2005年3月、英国BBCなどが製作して放映したSupervolcanoが、日本語版DVDになって3月24日に発売されました。私は2005年4月に英語版DVDが発売されるやいなや、英国アマゾンから購入して見ました。注文から5日で届きました。

スーパーボルケーノ

アメリカ・ワイオミング州のイエローストーン国立公園でカルデラ破局噴火が63万年ぶりに起こるという映画です。地球全体で1万年に1回起こるかどうかという低頻度の火山噴火ですが、いったん起こればかならず深刻な災害をもたらします。このサイズの噴火だと、都市だけでなく国が滅びます。

 → 現代都市を脅かすカルデラ破局噴火のリスク評価

これは、堆積物の研究を専門とする火山学者だけが知っていたタイプの噴火です。現代科学文明はこれをまだ経験していません。しかしこの映画は、それを大胆に映像化しています。英国やアメリカの火山学者が製作に協力していますから、火山学的にみて大きな違和感はありません。

こういう低頻度だが大規模な地学現象に私たちがどのように備えるべきか、あるいは備えるべきでないかは、よくわかりません。できるだけ多くの方がこの映画をご覧になって、スーパー噴火がこの地球上でかつて何度も起こり、これからも起こりうることを知ってほしいと思います。

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湯の平から北に流れ下った追分火砕流



湯の平から北側に流れ下っているこの火砕流は、1108年の追分火砕流だと思います。

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シラハゲは嬬恋軽石



黒斑山の中腹に麓からよく見える崩壊地シラハゲは、1万5900年前の嬬恋軽石が露出しているから白く見えます。白いから目立ちます。

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接写です。給源近くのプリニー式軽石として典型的です。こういう崖をみて、「指が入る」と言ったのは久野久です。細かい粒子がないので、隙間に指が入ります。大きな軽石の芯はハム色をしています。高温酸化したせいです。

プリニー式噴火というのは、2004年噴火より1000倍くらい難儀な噴火です。浅間山麓だけでなく、風下100キロくらいまで深刻な影響が出ます。浅間山の場合、風下のその距離にたくさんの都市があります。

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登山道のクレーター

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溶岩樹型からシラハゲに上がる登山道沿いに、クレーターがありました。地形の新鮮さと緑の侵入の少なさからいって、2004年9月の爆発によって飛来した火山弾がつくった穴だと判断できます。ここは、山頂火口中心から2.35キロ離れた標高1630メートル地点です。2004年の最遠到達記録2.2キロを塗り替えました。

ミネズオウの白い花

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ミネズオウは、こんな小さな白い花を咲かせる植物でした。おととし2004年9月1日の山火事は、シラハゲの上のガンコウラン(写真上)とクロマメノキと、このミネズオウが燃えました。

焼けた場所は、いったん真っ黒になりましたが、去年の春にはふつうの枯れ草の色に変わり、秋には緑も見えました。今年は、きっとすっかり緑になって、ガンコウランもクロマメノキもたくさんの実をつけるでしょう。浅間山の緑の回復力はめざましいものです。2004年の噴火なんて、ものともしていません。今年そこにいっても、2年前に高温火山弾の飛来で山火事があったなんて、ふつうのひとには、おそらくわからないでしょう。

二度上峠からみた四阿山(5月24日)

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四阿山の雪もずいぶん減りました。四阿山の写真は、いつも同じ二本の枝のすき間からとります。その見なれた枝に、葉がつき始めました。

二度上峠からみた浅間山(5月24日)



今年は、里の雪はたいしたことなかったけど、山の雪はいつまでも残っています。気温が低かったのでしょうか。梅や桜が咲くのが、いつもに比べてずいぶん遅かった。三原あたりでの桜の満開は4月末日になりました。

ブログとホームページの違い

いま盛んなブログが、従来からあるホームページと何が違うのか、長いことわかりませんでした。日記であるとか、トラックバックが可能とかの説明も聞きましたが、どれもブログの本質を表現しているとは思えませんでした。

他者から「ブログって何?」と聞かれると、「簡単につくることができるホームページ」としか私は答えられませんでした。この答えは、ブログはホームページの一種であるという認識に留まっています。しかしブログは、ホームページの下層概念ではなく、同列概念ではないかという気持ちをつよく感じていました。

個人がホームページをつくるには、htmlファイルを作成して、それをサーバに転送する必要があります。どちらの操作も、手元のパソコン内に組み込んだアプリケーションソフトを利用しておこないます。

しかしブログをつくるときには、手元のパソコンの中に特別なアプリケーションソフトを用意する必要がありません。アプリケーションソフトは、こっちではなくむこうすなわちサーバの側にあります。これは、いま言われている次世代インターネットWeb2.0の基本概念そのものです。

この特徴が、ブログを誰でも簡単に作成できるようにしています。ブログをつくろうとしたときに初心者が飛び越えなければならないハードルは、とても低い。ホームページ作成のハードルの高さとは比べものにならない。

むこうにおいてあるから、ブログは、自分のパソコンからだけでなく、旅先に置いてあるパソコンからでも、インターネットにつながってさえいれば、迅速そして簡単に更新できます。

こういった利便性によって、ブログは、人々が気軽に情報発信するためのツールとして確固たる地位を築きました。ふつうの人々にとって、これまでのインターネットは情報を入手する手段でした。ブログの出現によって、インターネットは情報を発信する手段にもなりました。

ブログの出現によって、いま、さまざまな業界に変化が生じています。学界だけがその変化から免れることができると考えるのは、むずかしい。

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赤城の飛石

前橋にこんなお菓子がありました。


赤城の飛石(清月堂)

群馬大学医学部そばにある岩神の飛石にちなんで名付けたのでしょう。しかし岩神の飛石は、赤城山からではなく、2万4300年前の山体崩壊で浅間山から流れてきた大岩です。

現地に立てられた特別天然記念物の説明文に「赤城山から」と書いてあるので仕方ない面もありますが、できれば「浅間の飛石」とお菓子を改名してほしいものです。

岩神の飛石 浅間山が崩壊し流れ着く

浅間山のキャンプ場

浅間山の北麓には、気持ちのよいキャンプ場があります。



ここはスウィートグラスです。浅間山を望むすばらしい景観と、スタッフのホスピタリティーが評判です。好天に恵まれた今年の5月の連休は満員だったようです。緑の芝生で大勢の子どもたちが遊んでいました。

まだ雪深い錫杖岳



3月にドカ雪があったから、飛騨の山に今年は雪が多いそうです。里の桜はまだつぼみでした。葉が先に出そうなくらいでした。

7月下旬に、アイゼン持参で飛騨沢を詰めて、槍ヶ岳に登ろうかと考え始めました。実現すれば、27年ぶりの登頂になります。

北軽井沢のカラフル火山灰(3:日なた)

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日が当たった場合。木の根の影が出てしまう。

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初夏の浅間山

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5月の連休初日は、すばらしい朝で始まりました。

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北軽井沢のカラフル火山灰(2:日かげ)



北軽井沢のカラフル火山灰をきれいにして撮影しました。ガリー(雨裂)が、いつも同じ位置にできています。スペーシングもおもしろい。

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二度上峠からみた四阿山(5月3日)



二度上峠から見た5月3日の四阿山です。3月25日と比べると、四阿山の雪は減っていますが、まだあります。眼下のゴルフ場の雪はすっかり消えて芝生が緑になっています。

山頂のすぐ下に水平線が三つくらい見えるのが奇妙です。

赤城山がつくる微気象

関東平野に面した赤城山の南斜面は1700メートルのスロープになっています。北西から強い風が吹き付けると、この斜面に渦が生じます。

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5月2日18時18分の渦です。霧によって可視化されています。

石尊山

石尊山は、ほんとうに溶岩ドームだろうか?
黒斑山の溶岩の先端かもしれない。

南麓のカラフル火山灰と淡黒レス



軽井沢天文台@油井に露出する平原火砕流の上のカラフル火山灰です。北麓と同じように、ピンクの上に青緑がのっています。ピンクと青緑の境界が一直線で鮮明ですから、ピンクの火山灰と青緑の火山灰が降ったのであって、降ったあとに着色されたのではないことがわかります。このセットは、嬬恋軽石の上にあります。

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その上にのる厚さ10センチの淡い黒のレスと軽石質堆積物です。軽石堆積物は、ここでも炭を含みます。この軽石堆積物は、地形をつくっていません。平原火砕流がつくった台地の上にみつかります。YP軽石→平原火砕流→嬬恋軽石と続いた1万5900年前の噴火のあと、およそ500年くらいたってから浅間山で何かが起きたと思われます。堆積物断面の特徴からは高温ラハールのようにみえます。

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