風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

竜頭の滝火砕流の噴出源

竜頭の滝火砕流は、男体山から1万4800年前に起こった七本桜/今市噴火のときに流れ出したと一般には考えられています。しかしそうではなく、三岳溶岩ドームの出現前に戦場ヶ原一帯を埋め尽くした火砕流噴火があって、その堆積物がつくったのではないか。戦場ヶ原から流れ出す湯川の谷を厚く埋めたため、いまの竜頭の滝部分がとくに堅く溶結した。

三岳の噴火堆積物が含んでいた炭化物の放射性炭素年代が4000年前だったと、宇都宮大学の中村洋一さんが1995年に報告しています。暦年代だと5000年前くらいにあたるでしょうか。三岳は光徳牧場の西に接する山塊です。

戦場ヶ原の縁で観察すると、火砕流堆積物の上にロームはなく、いきなりクロボクがのっています。クロボクの厚さは薄くて50センチくらいしかありません。この層序は、1万4800年前よりも5000年前を示唆します。

しかし溶岩ドームの上昇に伴う火砕流は、発泡してない岩片を噴出するのがふつうです。それは、しばしば熱雲と呼ばれます。竜頭の滝火砕流はよく発泡した軽石を大量に含むから、溶岩ドーム上昇に伴う熱雲の範疇には入りません。

山頂部だけ雪化粧した浅間山



空気が澄んで浅間山がくっきり見えたので、さまざまな方角の観察ポイントで双眼鏡を使って浅間山を観察しました。いちいち車から椅子を出して、時間をかけて観察しました。山頂部の地質図表現がおおむね正しいことが確認できましたが、鬼押出し溶岩の上を覆う吾妻火砕流の一群を新たにみつけました。

ケーキの上にまぶした砂糖のような白い雪と、木の種類による紅葉の色の違いで、きょうの山肌はたいへん見分けやすかった。この写真は、火山博物館駐車場から撮影しました。

浅間北麓地質図の掲示用A1サイズファイル公開



7月に発行した『浅間火山北麓の2万5000分の1地質図』はA2サイズでしたが、このたび2倍面積のA1サイズ電子ファイルを公開しました。縮尺は2万5000分の1のままですが、地質図面を北と東に拡大しました。そして右側に凡例を配しました。掲示用に最適です。電子ファイルをダウンロードしたのち印刷してご利用ください。A1サイズの出版予定はありません。

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