風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

懐古園の平原火砕流

小諸の懐古園は、1万5800年前に平原火砕流がつくった台地の上にある。



深い谷が園内の火砕流堆積物に刻まれている。谷壁には、桃色がかった火山灰の中に角がとれて丸くなった軽石や岩片が乱雑に混じった地層が露出している。谷壁はほぼ垂直に切り立ち、谷底は広い。このような浸食地形を地形学では箱型峡谷とよぶが、、この地方には田切(たぎり)という言葉がある。佐久平に展開した平原火砕流の堆積物には田切が至るところでみられる。田切の谷底は水田として利用されている。

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千曲川に下ると、火砕流堆積物に掘り込まれた深さ4メートルの穴の断面を観察することができる。穴は土石流によって運ばれた砂礫で埋められている。穴の上に6メートルの砂礫層が重なり、その上を別の火砕流堆積物が覆う。合計10メートルの砂礫の堆積にかかった時間は数週間程度だとみられる。

軍艦のような荒船山 火山ではない



下仁田から佐久に抜ける内山峠に軍艦のようなかたちをした荒船山がある。第三紀の厚い溶岩流でできていて、広くて平坦な山頂部にはクロボクが厚く堆積している。海中に噴出したマグマがつくったパラゴナイト凝灰岩がこの厚い溶岩流の下にある。荒船山は溶岩流でできているが、火山ではない。海水準近くで形成された一枚の溶岩流が、普通の山と同じように長い時間をかけて隆起して1356メートルの山になった。

二枚の平原火砕流 南城公園

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小諸市南城公園の平原火砕流。上下二枚あるように見える。間には厚さ20センチほどの砂層が挟まっている。最上部1センチが黒い。

下の堆積物の上半部はサーモンピンクに色づいている。高温状態で堆積したためだ。たくさんのパイプ構造が認められる。そこから立ち昇った高温ガスが厚さ20センチの砂層を貫いて上の堆積物を赤褐色に着色している。したがって、上の堆積物がここに重なったのは、下の堆積物が完全に冷え切る前だったことがわかる。時間差は数年程度か。

上の堆積物は白く、とくに下半部に、軽石濃集部が多い。軽石は表面がこすれて丸くなっている。これは火砕流の堆積物ではなく火砕流堆積物から二次的に発生したラハールの堆積物だと思われる。平原の国道18号沿いで、上の堆積物が下の堆積物の表面に溝を削り込んでいる様子を観察したことがある。それは、水流によってつくられたもののように見えた。

中村の浅間石



長いことみつけられなかった「中村の浅間石」を、きょう偶然みつけました。渋川市民ゴルフ場の駐車場に移動復元されていました。利根川のすぐそばです。

南西部における浅間山の基盤は第三紀の小諸層群

御牧原の丘陵をつくるのは第三紀に堆積した小諸層群である。火山角礫岩やよく成層した砂泥からなる。海ではなく淡水の底に堆積した地層だという。



小諸層群は千曲川の右岸にも露出する。これは、中棚鉱泉の東、総合体育館の北側の大きな露出だ。中段に挟まれる厚い地層は火砕流の堆積物のようだ。塚原土石なだれとそっくりなみかけを示す部分もあるが、固結度が高いこと、冷却節理が見られること、厚いローム層に覆われていることなどの特徴によって区別できる。

糠塚山は、その西部の繰矢川沿いで火山角礫岩を露出するから、小諸層群の一員である。760.2メートルの三角点がある加増の高まりは、その位置と地形から判断して、小諸層群ではなく黒斑山の一部であろう。

五郎兵衛米は塚原土石なだれの上で取れる

おいしいと評判の佐久市浅科の五郎兵衛米(コシヒカリ)は、塚原土石なだれの上につくられた田んぼで生産される。千曲川右岸の佐久市塚原にはたくさんの流れ山があって、この土石なだれの堆積面であることが以前から知られていたが、左岸の五郎兵衛米たんぼもそうであることは、きょう現地を調査して初めてわかった。土石なだれの堆積物は、(1)浅科大橋のセブンイレブンから御馬寄に下る道沿い、(2)中山道の南側の崖、(3)駒寄団地の南側に露出する。浅科側には流れ山がひとつも見られない。水田耕作のために撤去されてしまったのだろうか。



浅科大橋の下の右岸(塚原側)の水面上に、土石なだれの断面が連続して露出する。パッチワーク構造がよく観察できる。



田んぼの真ん中のちょっと小高いところに浅科小学校がある。基盤地形の高まりかとおもったが、どうやら塚原土石なだれの堆積表面そのものらしい。興味深い形状だ。遠景の丘陵は御牧原。第三紀の火山角礫岩や堆積岩で構成される小諸層群からなる。

蛇堀川を下った追分火砕流は小諸市加増まで達した

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1108年8月30日の追分火砕流は、蛇堀川を下って小諸市加増(かます)まで達した。国道18号まであと100メートルだった。

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小諸高校のグラウンド北東壁に露出する追分火砕流の堆積物。表面にひび割れをもつキャベツのような黒い火山岩塊がみつかる。これを追分キャベツと愛称する。

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この地域には、追分キャベツを積み上げた立派な石垣が多い。南麓としてはめずらしい。

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