風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

火砕流と霜柱が120万年かけてつくった美瑛の丘


北海道中央部の美瑛。大きく波打つ丘が見渡す限り広がる。麦畑や牧草地として利用される何の変哲もない土地だったが、数十年前にカラー写真で紹介されて以来、よく知られるようになった。いまは、日本離れしたこの大陸的な景観をひと目見ようと、大勢の観光客が毎日押し寄せる。

この丘の景観は、120万年前に流れ広がった十勝火砕流の平坦表面が氷期のきびしい気候のもと、凍結融解を何度も繰り返したことによってできた。日本の他火山の火砕流堆積面でも多少の丘は見られるが、ここ美瑛は北海道の内陸部にあって寒冷の差が大きく、さらに120万年前という古い火砕流のためにその効果が顕著にあらわれた。

大きく波打つ丘をつくった凍結融解作用を詳しく説明しよう。氷期には、この地域の地表から植物が消えた。裸になった地表は毎朝凍結して霜柱をつくった。霜柱は地表面から垂直に持ち上がる。地表面が少しでも傾いていると、持ち上げられた砂粒は日射を受けて霜柱が融けるとき鉛直に落下する。こうして地表の砂粒は毎日ほんの少しだけ斜面を下方に移動する。これが何回も繰り返されて、大きく波打つ丘ができた。つまり、この美しい景観をつくったのは霜柱だといってよい。

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富良野のラベンダー畑の波打ち部分も、このプロセスでつくられた地形だ。

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