風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

噴火地図と地質図の違い

5月に印刷した浅間山の5万分の1は、「噴火地図」と銘打った。しかし「地質図とどう違うの?」の問いにうまく答えられなくて、「地質図って、一般読者にわかりにくい専門用語だから」などといってお茶を濁してきた。しかし、その違いがわかった。

地質図は、どこになにが分布するかに細心の注意を払ってつくった地図のことをいう。もともと資源探査のためにつくられたのだから、地層の分布を正確に表現するのが第一目的なのは当然だ。しかし火山の場合は、過去の噴火が読み取れないと意味がない。噴火地図は、噴火の歴史が読めるようにした地図である。

過去の噴火が読み取れるように、地図を着色した。だから、じっさいには露出してないところにも、「あるはずだ。あったはずだ」の論理で着色した。現地を調べて獲得した噴火解釈をそこに表現したから、地層がみえても表現しなかった領域、地層がみえなくても表現した領域がある。

それはデータの捏造ではないかといわれるかもしれないが、そうではない。予言だ。正しい学説にもとづく予言は当たる。じっさい、鬼押出しの西側の前掛山斜面に吾妻火砕流が分布することを北麓地質図初版で予言して、その後確認して、改訂版で地点72として登録した。

過去の噴火を正しく理解して表現した噴火地図は、それらしくみえる。自然は間違いをおかさないからだ。それらしくみえない噴火地図は、過去の噴火を正しく理解しそこなっている。ただし、それらしくみえる噴火地図がいつも正しいわけではないことに注意する必要がある。

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