風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

美しさの背後に

美しいものを目にしたとき、美しいと感じるだけですますひとと、なぜ美しいのか理由を言葉で考えるひとの2種類がいる。後者の行為は、ときと場所をわきまえないと無粋だと非難されることがあるが、人生を豊かにする効果があるのでこっそり楽しむとよい。

美しさの背後には、解読されるべき情報が隠れている。世界には情報がいくらでも転がっているが、美しさは、それが解読可能であることを意味する。その情報を解読する知的作業は楽しい。

鬼押出し溶岩の上に載る吾妻火砕流

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廃道を進んで、鬼押出し溶岩(右)と舞台溶岩(左)がつくる隘路をくぐり抜けると、鬼押出し溶岩の上に立つことができる。

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クロマメノキが群生する平坦面は、鬼押出し溶岩の上を覆った吾妻火砕流が残した堆積物だ。

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平滑面で囲まれた溶岩ブロックが累々と積み重なった上に、赤く酸化したスコリアからなる吾妻火砕流が7メートルほどの厚さで重なる。

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鬼押出しに隣接した広い範囲に小滝火砕流

火山博物館の南に、使われなくなったスキーゲレンデがある。その上にあるうっそうとした森は、小滝火砕流の上に成立している。

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鬼押出しを横断する廃道に続く道が、幅50メートルの溝の中を通過している。その両端に小滝火砕流の断面が露出する。厚さは3メートルほどで溶結している。左が東側、右が西側の断面だ。

火砕流の中のスコリアは、吾妻とも追分とも違う。幅50メートルの溝は、天明噴火で破壊された柳井沼に続いていたとみられる。これほど大きな溝があるのだから、この火砕流が吾妻火砕流であることは、ない。

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火砕流の表面や溝の中に生育する樹木の多様性と年輪も、わずか200年では成立しえない複雑さと太さである。火砕流の上に天明軽石はあったが、Bスコリア上部はひと粒もみつからなかった。もしこれが追分火砕流ならどこかのくぼみに残っているのがもっともらしい。火砕流の表面に浸食不整合があるとみられる。

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以上の観察と考察から、上のように地質図を修正した。

長径2メートルの追分キャベツ


北軽井沢小学校の南西の畑の中で追分火砕流の堆積物を採土していた事業は、ほぼ終了するようだ。埋め戻しが始まっていた。写真は、敷地の片隅に置かれた長径2メートルの追分キャベツ。いままで見た中で最大だ。

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