風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

鎌原土石なだれは鬼押出し溶岩から発生した。

早川由紀夫(2017)鎌原村を襲った土石なだれは、鬼押出し溶岩から発生した。月刊地理、62(8)、4-9。
キャプチャ

火口から5.5キロ地点の火山弾

point48.jpg

浅間北麓にある分譲別荘地の林の中(地点48)に、直径90センチの丸い火山岩がある。表面に冷却割れ目が見られることから、20世紀前半に頻発したブルカノ式爆発で山頂火口から飛来した火山弾だと思われる。

キャプチャ

しかし、ここは山頂火口から5.5キロも離れている。他の火山弾が4キロ以内に留まっていることと比べると、例外的に遠い。別荘地開発に伴って、人が火山弾をここまで運んだのではないかと心配だ。はたして、浅間山のブルカノ式爆発で火山弾がここまで届くだろうか。計算してみた。

Eject!というプログラムに次のパラメータを入力した。
・追い風 10m/s
・放出角度 45度
・放出点の高度 2520m
・着地点の高度 1220m

220.png

初速を、160、180、200、220m/sとして4回計算した。220m/sで、水平距離5.57キロまで到達した。最高高度1.15キロ、飛行時間38秒である。

現在の浅間山頂火口の直径は300メートル。深さ160メートルの円筒形をしているから、現在の火口底中心で爆発すれば放出角度45度は達成できる。地点48はほぼ真北にあたり火口縁が最も低くなっている方角だから、火山弾が火口縁をクリアしやすかっただろう。浅間山のブルカノ式爆発で、火山弾が北側5.5キロまで到達することはいまでもありうると思われる。

FC2Ad