風景に書き込まれた歴史を読み解く

The Story Behind the Scenery

日本沈没 ハイテクジャンボは火山弾で落ちない

私が映画をいつも見に行くMOVIX伊勢崎では、日本沈没をこれまで毎日5回上映していましたが、明日から毎日3回に減らすそうです。

Yahoo!映画レビューでの、日本沈没の評判はすこぶる悪い。

この映画は、33年前の社会現象を経験した中高年をたいへんがっかりさせたようです。社会現象を知らない若年層にも、日本沈没はこんなんじゃないはずだという意見が多いようです。

石坂浩二ふんする首相を乗せた航空機が阿蘇山上空で噴煙に直撃されて墜落する。中国に向かう首相が乗った航空機は、まさか高度2000-3000メートルを航行するセスナかプロペラ機ではないだろう。首相が乗った飛行機は政府専用機だったはずだ。それはハイテクジャンボ(ボーイング747-400)である。高度1万メートルを航行する。

墜落の詳細は映画に描かれていないが、石坂浩二が窓から外をのぞいて噴火に気づく映像でその場面は終わる。火口から放出された火山弾に直撃されて墜落したようにみえる。しかし、どんなに大きくて強い噴火でも、火口から10キロも上まで火山弾が届くとは考えられない。どんな爆発でも、火口噴出時の勢いは2-3キロで萎えてしまう。そのあと噴煙は、地球大気から得られる浮力で上昇する。

政府専用機が阿蘇の噴火で墜落するストーリーをつくりたかったなら、ジェットエンジンが火山灰を吸い込んだために運転停止したことにすればよかった。火山灰は石の粉だから、ジェットエンジンがそれを吸い込むと高温のために融けてエンジン内部に付着する。墜落に至ったことはまだないが、4基のエンジンのうち3基がダメになって、残りの1基だけでかろうじて緊急着陸した例などが実際に複数ある。

首相が早々と事故死してしまったためか、私がこの映画に期待した国の災害危機管理はまったく描かれていない。ひたすら困惑するだけで、国民にうそを言って自分だけ生き延びようと画策する紋切り型の悪役人を描くに留まっている。災害対策基本法が定める緊急災害対策本部(28条の2、内閣総理大臣が本部長となる)が置かれ、災害緊急事態(105条)が布告される映像が見たかった。国家が滅亡するという大事だというのに、この映画は、国の対応の描き方がまったくずさんだ。

たいへん興味深い地学ストーリーで、33年前の宣伝効果を丸ごと継承できるはずだった。しかし恋愛を中途半端に持ち込んだために、収穫できるはずだったハイリターンをこのリメイク映画はみすみす逃してしまった。

いくら地学を題材にした映画でも、映画としての完成度が不十分なら、料金を払ってまで見るように勧めることは私にはできない。

愛が日本沈没を救う(5月30日記)


MOVIX伊勢崎は、日本沈没の上映を9月16日から毎日1回にするそうです。
9月29日で上映終了だそうです。

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2006/08/28(月) 09:16:04 |
  • |
  • #
  • [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://pringles.blog23.fc2.com/tb.php/140-bdc1a346
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad